【特集記事】『華やかな相撲の舞台裏を追う』 初春の風物詩・大相撲「初場所」

2017年01月13日(金)

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近年の若手力士の目覚ましい活躍や、相撲好きの女性 スー女″と呼ばれる新たなファン層の拡大で大いににぎわいを見せる角界。それには、力士と共に勝負の舞台に立ち、冷静な判断で勝敗を見極める「行司」という存在がいてこそです。新年号では、華やかな舞台の裏側で活躍する影の主役にスポットを当て、仕事に就いたきっかけ、行司の日常など、知られざる「裏方仕事」の世界を取材しました。

170113front01手紙で直談判相撲の世界へ

容堂さんが初めて生の相撲を目にしたのは、小学校3年生の時。「友人と遊ぶよりもテレビ観戦が好きだった自分を、父親が国技館に連れて行ってくれました。鍛え抜かれた巨漢の力士同士がぶつかり合う音、吐息、会場内を包む、あの独特の空気……当時の高揚感は今でも忘れません」。
それからも、相撲に対する思いを抑えきれなかった容堂さん。ついには中学を卒業してから、元横綱・北の富士親方宛てに角界への熱い思いをしたためた手紙を送り、直談判を行ったといいます。行司になるには、通常、関係者筋からの紹介を受けることが多く、容堂さんのケースは稀。まさに、熱意の賜物といえます。

知られざる舞台裏の仕事

入門した当初は、相撲部屋で力士たちと寝起きを共にしながら、先輩行司の付き人として活動。装束の着付け、足袋の準備といった身の回りの世話はもちろん、相撲番付に書かれる独特の字体「相撲字」の稽古が始まります。
「枠の中に太く力強い文字を収めることを体で覚えるのですが『言うはやすし』。先輩の手本を見ながら連日連夜、ひたすら文字と格闘する毎日でした」。相撲字が習得できず、退職を余儀なくされた人もいるほど。厳しい世界だからこそ、地道な修業が欠かせないと言います。
表舞台では、取組の進行役、勝負の判定が主な役目である行司。勝敗を裁く重責は並大抵のものではありませんが、土俵外でも多く仕事を抱えています。主に、場内放送や取組の勝敗結果と決まり手の記録、巡業先で宿泊先の手配、部屋割りなどを受け持ちます。軍配(ぐんばい)よりも筆記用具を持つことが多く、日々職業病のペンダコ、けんしょう炎と闘っているとも。

衣裳の違いは苦労人の証し

国技館で一月場所中の今、連日力士らを見掛ける機会も多い時期です。土俵上では、力士のマゲとまわし姿とは対照的に、きらびやかな行司の姿が目を引きます。実はこの衣裳、階級ごとに変化することをご存じですか。一番の違いは、十両に上がり足袋の着用が許されること(それまでは冬でも素足)。装束の生地も、木綿から絹や麻などへ。軍配などの房の色も階級が上がるごとに黒(緑)→緑白→紅白→朱……と変わるため、ちょっとした違いに注目するのも一興です。
容堂さんも、1月22日(日)の千秋楽まで土俵に立ち、勝敗を裁く任に付きます。「相撲は昔ながらの言い回しや決まりがありますが、勝敗やルールが分かりやすく、誰でも楽しめるスポーツ。ぜひ現地で、もしくはテレビを見ながら応援いただければうれしいです」


相撲の今さら聞けない豆知識

170113front02 Q. 力士の番付って?
番付とは、簡単にいえばランク表。最高位の横綱から序ノ口までの十段階で構成されています。横綱、三役を含む幕内から三段目までは定数制で、幕内42人、十両28人、幕下120人、三段目が200人。以下、人数制限はありません。力士にとっての転機は、一人前と認められる十両昇進。土俵入りの際は、絹製の化粧まわしの着用が認められ、本場所の取組数が7番から15番へと倍増。月給の他、個室や明け荷の使用も認められます。なお、十両からは2、3人の付き人が付きますが、横綱ともなれば7人から10人もの人数が付く場合も。

Q. 本場所はいつ行われるの?
大相撲本場所は、1カ月おきに年6回開催。奇数月に行われ、東京・両国国技館での興行は一月場所(初場所)、五月場所(夏場所)、九月場所(秋場所)の3回。15日間連続して行われ、第一日目を初日(しょにち)、八日目を中日(なかび)、最終日を千秋楽(せんしゅうらく)といいます。なお、各日の開場時間は一律8時から。午前中からは序ノ口から幕下力士たちの取組があり、十両の土俵入りは14時15分頃というのが通例ですが、熱心なファンは午前中から入場するそう。

170113front03Q. 巡業ではどんなことをする?
年6回の本場所以外に、地方巡業があります。4月に春巡業、8月に夏巡業、10月に秋巡業、12月上旬から冬巡業と、日本各地に出向きます。本場所と違って和気あいあいとした雰囲気の中で、握手・サイン会が行われる他、民謡形式の四句を歌う相撲甚句や、禁じ手をコミカルに紹介する初切(しょっきり)、行司に相撲を仕掛けたりなど、普段は見られない催しなどもあって、ファンも多いそう! 全国各地を巡るため、関東圏内での興行はそう多くはありませんが、地元で行われる際は一度足を運んでみては。日程は下記ホームページで確認を。


両国国技館での千秋楽は1月22日(日)「大相撲・一月場所」開催中です

本日1月13日(金)は一月場所の6日目。以降の観戦は国技館切符売場で販売する「当日自由席券」のみ(7時45分から発売)。2階イス席は大人2,200円(4歳〜15歳200円)で購入できます。原則、1人1枚のみの販売。
※詳細は日本相撲協会公式サイトhttp://www.sumo.or.jp


九重親方

故九重親方(横綱・千代の富士)とは、部屋の師匠だったこともあり、交流もあったという容堂さん。「家族を大切にされる親方は、毎年部屋所属の関係者や、その家族を招いて新年会を開いてくれました。その時、当時生後6カ月だった息子が親方の腕に抱かれ、写真撮影をしました」。なお、力士に赤ちゃんを抱いてもらうことは「健康に育ちますように」という意味があり、縁起の良いこと。「息子は現在高校生になり、大きな病気もなく元気。当時の写真は家宝です」と懐かしむように話します。「数々の記録を塗り替え、角界で初めて国民栄誉賞を受賞したレジェンドだけに、雲の上の存在。そんな親方の『還暦土俵入り』に、自分を先導役として指名いただいた時は、まさに身の引き締まる思い。今でも昨日のことのように思い出されます」


・問い合わせの際は「ニューファミリーのホームページを見た」とお伝えください。

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